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開高健の博物誌 (集英社新書)

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(画像大 別窓)    題: "東南アジアの濃密な夜"    * Corel PhotoPaint13で加工

 

 

 中近東やアフリカや東南アジアで、おなじ時刻におなじ場所で体感する闇は、同種族のものでありながらも、おそらく暑熱とむっちりした湿気のせいだろうと思いたいが、何かしら怪物的な生がギシギシと音たててひしめかんばかりに充満しているようなところがある。


 魚、果物、肉、おしっこ、ウンコ、さまざまな栄養の分解しっつある匂いがたちこめ、それが眼なく耳なき怪物の息づかいのように感じられるものである。


 この闇は発熱しているし、発酵しているのである。


 すぐさきの町角を曲って大通りにでていってまっすぐ歩いていかなくても、眼前の闇のすぐ背後に砂漠やジャングルや水田の肉迫していることが、まざまざと感じられ、闇はたとえ町のなかにうずくまっていても、それら広大な無辺際のものの分泌物にほかならないと感じさせられるのである。

 

-- 開高健の「開口閉口」より

 

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 開高健の文章スタイルは濃いから こうゆうところの表現によくあう。

旅の雰囲気を醸しだしながら 現実世界を物語りながら進む、そんな感じ。 いいわー。

濃いなー。むんむんとした空気が伝わってくる。

 東南アジアの夜と言えば けばいピンクのネオンがイメージされたりする そのへんから

画像はこうゆう色調にした。

投稿者 fh9xif | 返信 (0) | トラックバック (0)

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